イベント情報 お知らせ  イベントレポ  ふくおか!  FAEPについて  免責事項 問い合わせ

アーティストレポート

(2013/9/27)
アジアフォーカス・福岡国際映画祭上映
台湾映画『花様~たゆたう想い~』
ゼロ・チョウ(周美玲)監督
FAEPインタビュー

©FAEP

<引力を持つ女性 ゼロ・チョウ監督>

「Tatto-刺青―」のゼロ・チョウ監督の最新作「花様~たゆたう想い~」が福岡国際映画祭で上映される事と
なり、なんと日本では一番最初に福岡で公開される事となりました。さらに初日にはゼロ・チョウ監督の舞台挨拶
もあるという事で、上映前の貴重なお時間を頂き、FAEPでもインタビューをさせて頂くことになりました。
しかし当日は台風の影響で予定していた東京からの飛行機が欠便となり鹿児島まで一旦移動し、そこから九州
新幹線で移動してきたとの事。

ゼロ・チョウ監督:お待たせして申し訳ありませんでした。でも思いがけず九州新幹線に乗れたのでラッキーでした。

緊張していた私たちにゼロ・チョウ監督が笑顔でそう話しかけてくださり、おかげでこちらも緊張の糸がほどけました。
また博多のお土産物をお渡しすると、中でも「博多にわか」のおはじきに興味を持っておられました。


©FAEP

FAEP:今回は初来福という事になると思うのですが、福岡という土地をご存じでしたか?またどの様な印象を
持っておられましたか?

ゼロ・チョウ監督:この映画祭はアジアではとても有名で存じ上げていました。来れてよかったのですが、台風の影
響で半分の滞在時間になってしまいました。次回来るときはもっと時間を取ってゆっくり見て回りたいです。


FAEP:本日の上演に際し、福岡国際映画祭では珍しい事なのですが、朝の7時ごろから整理券の配布の為に
ファンの方々が並んでいたそうですが、ご存じでしたでしょうか?

ゼロ・チョウ監督:少しだけその話を聞いていましたが、実際に上映の時になってみて、たくさんの観客のみなさんが
いらしてどんな反応をするのかを見て、その時にやっとホッとできるのではないかと思います。


FAEP:監督自身がアジア映画以外にハリウッドや日本映画などを鑑賞したり、また印象に残っている作品などは
ありますか?

ゼロ・チョウ監督:実はアジアの地域ですと一番好きな監督は侯 孝賢(ホウ・シャオシェン)監督なんです。
2番目は日本の北野武監督、どちらも奇才な監督です。


FAEP:では、台湾映画がほかの国と違う所はどこだと思いますか?

ゼロ・チョウ監督:我々アジア人にとってはハリウッド映画というのはやはり特撮が特徴ですよね?またヒーローもの
が多いですよね?でもアジアの作品は情感をしっかりと描くという所が特徴だと思います。それは特に日本と台湾
において著しい特徴だと思います。中国大陸の映画でも、広大なロケーションを使った時代劇が多いのですが、
今回私が撮影した作品は時代劇ではありますが日本映画により近い、時代劇の中でいかに情感に伝えていくか
という所に力を入れています。



©FAEP

FAEP:私はいくつかの台湾映画を見て、それで感じたのが台湾の風景がたくさん盛り込まれていたり、台湾語を
使っていたりなど、見ていて台湾に行きたくなるような、そんな作り手の『台湾愛』みたいなものを感じるのですが?

ゼロ・チョウ監督:確かに、最近の台湾映画の半分以上が台湾語を使うという事にウェイトを置いている事が多い
です。私も日本の映画を見ると日本に行きたくなる事がありますよ。


FAEP:監督の作品では例えば「Tatto-刺青―」の黄色の彼岸花であったり、小緑の緑色のウィッグであったり、
色使いが印象的だったのですが「花様~たゆたう想い~」ではどんな色が見れるのか非常に楽しみなのですが。

ゼロ・チョウ監督:かなり強烈な色使いでやってますよ(笑)。今まで時代劇というと重厚な色使いが多かったのです
が、この作品は違います。若者たちのラブストーリーを描きたかったので違う風にしています。


FAEP:実は私が去年のジェリー・イェンさんの来日時にインタビューを担当させて頂いており、その時はちょうど撮影
の真っ最中との事で、骨折をした指にギブスをした状態だったのですが・・・

ゼロ・チョウ監督:彼は撮影になると必死に頑張ってくれるので骨折してしまったのです。もう自分をどうやって守ろう
とか考えない人なんですよね。(インタビューをしてみて)彼の印象どうでしたか?


FAEP:どちらかというと繊細なイメージがあったのですが、映画の話を聞いた時に「僕はこの映画で成長をしたんだ。
生まれ変わった自分を早くみんなに見てほしいから早く公開してほしい。」と力強く、それからキラキラとした目で
語っていたのがとても印象的でした。

ゼロ・チョウ監督:(クスクスと笑いながら)彼は前の映画から8年ほど間が空いており、10年ほど映画で演技して
おらず、どちらかといえば好んでいないようでした。しかし上海でこの映画の話をした時、そのあと帰ってから私の家
に彼が来て、一緒にお酒を飲んでやっと心を開いてくれました。それでやってみたいという話になったんですが、撮影
後はすっかり映画を撮るという事が気に入ったみたいで、マネージャーさんに今後はできればもっと映画のお仕事を
したいと言ってるそうです。

初めて彼に会った時に「今まではドラマの中で白馬の王子様のような役であったり、お金持ちのお坊ちゃまだったり、
あるいはお医者様であったり、そういう役ばかり演じてきたけど、実際あなたの性格はこの世の中から少し外れたよ
うな雰囲気のある、子供のような心をもった人なんだから、そういう役をやってみたらいいんじゃない?もちろん今ま
でにやった事のない役で不安だろうけど、それは私にまかせてください」って言ったんです。だから今まで見たことの
ないジェリー・イェンがこの映画の中でみせられるんじゃないかと、きっとできると思っていました。ただこの映画は
女性のラブストーリーがメインなので出番が少ないけどいいのか?って聞いたら「全然かまいません!ぜひやって
みたいです!」って言ってました。


©FAEP 


FAEP:ジェリー・イェンさんも監督のことを「とてもいい人で、自分にもたくさん自由にやらせてくれる空間を与えて
くれます。」とお話されていました。

ゼロ・チョウ監督:そうなんです。私は完全に彼に自分の役を自分で作って、自由に演じてもらうように言いました。
この海賊の役はジェリー・イェン独自の海賊でいいんだ、別にトニーレオンじゃなくていい、トニーレオンはトニーレオン
の海賊、ジェリーはジェリー唯一のどこにもないジェリーの海賊を作ってくれればいいと話しました。しかしこれは逆に
監督に指示をされない分、役者としてはプレッシャーが大きい。100%自分で役柄に入っていかないといけないと
いう事になります。それぐらい役柄に入ってしまうあまりに、本来はスタントマンを用意していたところをジェリーは
自分でやるって言い出したのでスタントマンから不平が出たんです。「ジェリーさんがやらせてくれないんです。ギャラ
は出るんですか?」なんて話もでたんですよ(笑)


FAEP:共演者のジョセフも先月来日した際にこの作品に関して「特別な思いがある作品です。役柄的にはとても
悲しい役で、それを演じるにあたり一度自分をゼロの状態にして役作りをしました。」と話していたようですが?

ゼロ・チョウ監督:(深くうなずきながら)ジェリーと比べるとジョセフの方が年下なのですが、ジェリーの方が子供みた
いでジョセフは内心はすごく落ち着いた人です。この作品を読んで、自分の役がとても好きだと言っていました。
この役はとても純粋さを要求される役です。楽師の役なのでピュアでなければならない。そこがまず重要でした。
しかし愛に関してはこの楽師は重大なミスを犯してしまう。彼はその罪の重さに自責の念で放浪の旅に出てしまい、
目も見えなくなってしまう、そんな悲しい役柄なんです。だからとても難しい役だったと思います。


FAEP:本当はアイビーやミッシェルの話もお聞きしたかったのですが、お時間がなくて残念です。
女性のラブストーリーという事ですので、この後の上映も楽しみにしております。

ゼロ・チョウ監督:確かに女性のラブストーリーだけども、相手の男性がいないと成立しないので、そこをしっかり
見てくださいね(笑)



©FAEP

ひとつひとつの質問に丁寧に細やかにお話をしてくれたゼロ・チョウ監督、自身が話をしている最中はもちろん、
通訳のかたが訳している間もずっと笑顔でこちらを見つめてくれて、そんな彼女と話しをしていると思わず引きこまれ
てしまうような、そんな印象の女性でした。そしてとても気さくで、話の途中に「私が初めて見たアジア映画が『君さ
えいれば/金枝玉葉』だったんです。」と言うと「私も大好きな作品よ。」と満面な笑顔で答えてくれたりと、本当に
魅力溢れるかたであり、時間が足りない!もっともっと監督のお話を聞きたい!と思わずにいられませんでした。
そして「花様~たゆたう想い~」を見た今、その想いはさらに強くなってしまいました。映画の中のあの色の話、
セリフの話、セリフではない言葉ではない部分の話。是非またお話を聞きたいと願いを込めて、また次の来福を
心待ちにしたいと思います。

(文:森下 恵美子、写真:宮崎 聡子)



(TOPへ) << 
300 299 298 297 296 >>