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イベントレポート





1部が終了後の休憩の間、客席のお客様は今回のパーティのパンフレットを手に
さっき歌を歌っていたのは誰?
「踊っていたのは誰?
あの5番目にウォーキングしてきたのは誰?
と、メンバーの確認に忙しい様子
 
実際何度もウォーキングする姿やインタビューなどを通し、色んな彼らの表情を見てきたつもりだった私ですら
あのステージの上で輝いている人達は私が知ってる、このパンフレットに載っている彼らと同一人物なのだろうかと
そう思ってしまうほどに彼らはステージの上でどんどん成長しているような気がしていた


<2部>
 
彼らが短い時間で猛特訓を重ねて作り上げたお芝居が幕を上げる
 
  『 地下猿 』
 
舞台は三池炭鉱
実際に福岡の大牟田及び熊本県の荒尾市にあった1997年に閉山された炭鉱だ
今年チリであったような落盤事故が三池炭鉱でもあり
その場には強制労働をさせられている韓国人も存在していた
まさしくK-men'sが演じるのにピッタリな題材だと思った

ステージの上には鉄骨が組み上げられたケージがひとつあるだけ
メンバーの衣装も炭鉱夫という事で汚れたタンクトップにパンツ
さっきまでセットされていたヘアースタイルも手ぬぐいを巻かれたり
ヘルメットをかぶったりで乱れてしまっている

そう、さっきまでステージの上で華麗にウォーキングをしていた
モデルの彼らではなく
俳優の彼らへと変わったのだ
役名もない彼らは彼らそのものであり
そして逆に彼らではないただの韓国人炭鉱夫になっていた





お芝居は音楽に合わせて体を動かす事で表現する場面が時折見られる
オープニングも黄色のヘルメットの日本人炭鉱夫と
青色のヘルメットの韓国人炭鉱夫がケージの向こう側で
言葉なく、動きだけでケージが動いている様を表現をしていく

ケージの中から出てきた炭鉱夫達は埃を払い
ヘルメットの匂いに顔をゆがめる
そしてゆっくりと体を横たえる

そこへ炭鉱夫達の兄弟や妻達がやってくる
疲れている彼らを明るい声で元気づける女たち
その彼女たちのセリフは私たちには耳慣れた九州弁で
思わず顔がほころび
そしてそれが余計に自分たちの身近に起こっている事のように感じてしまう

賑やかに食事をする日本人炭鉱夫を横目に
食べ物を分け与えられた韓国人炭鉱夫達は
ほそぼそと大人しく食事をとる

するとそこで日本人炭鉱夫に催促された妻達が
踊りを披露し始める
冷やかす日本人炭鉱夫
黙って見つめているだけの韓国人炭鉱夫





突然リズムに乗って踊る彼女たちに触発された
ひとりの韓国人炭鉱夫が
一緒になって賑やかに満面の笑顔で踊り始めるめる
 
もちろんこれはジェイドの役どころ
踊りはもちろんの事ながら表情がとてもいい
にこやかで 彼の個性が見事に表現されていると思った





ささやけな宴が終わり、皆が帰ったその場所に
サンヒョクと現場長の妹キヌエが残る
ふたりの間になんともやわらかな空気が流れる





たどたどしい日本語で会話をするふたり
サンヒョクは彼女の手を取り、自分の気持ちを伝えようとする
しかしそこへ兄が登場し、ふたりの仲を引き裂く





日本人と韓国人
そのふたりが幼い恋心を抱き、言葉を紡ぎ合って
手をつないでいるシーンに思わずため息がこぼれそうになる
サンヒョクの日本語はこんなにたどたどしかっただろうか
もう少し流暢に彼は話せていたように思う
だとすると、今ステージの上にいるサンヒョクは
炭鉱夫のサンヒョク、これも彼の演技のひとつなのかもしれない
「オダギリジョーみたいな俳優になりたい」
いつもそう言ってハッキリと自分の目標を口にしていたサンヒョクを思い出していた

場面は一転し
過酷な労働をする炭鉱夫の場面へ
タンゴ調のようで、でもブルースのような、ロック調のような
そんな音楽に合わせ
そして手元のライトを駆使しながら
炭鉱夫達は声を出して体を動かして働く





つるはしを振り上げるしぐさや
ロープを引くしぐさ
重い石を抱えるしぐさ
全てがパントマイムのように音楽に合わせて表現されていく
 
サイレンが鳴り休憩時間
急にフーンが体調を訴え倒れる
慌てたデミアンが日本人炭鉱夫に叫ぶ
「すみません!!毛布か何かないか!毛布!!」
 
いつもデミアンは紳士的で優しく
怒鳴ったり、表情を荒げるというイメージがない
こんな表情の彼を見たのもまた初めてかもしれない
疲れがたまっている韓国人炭鉱夫は喧嘩を初めてしまう





ここはあえて韓国語だけで話が進められる
何を話しているのか全くわからない
だけどメンバーの表情でその悲しみや辛さが伝わってくる
ジョーが「オモニ!!(お母さん)」と叫ぶシーンに涙が出そうになる
 
日本人炭鉱夫が尋ねる「なに話とーと?」
優しく答える韓国人炭鉱夫はキュー「しんぱいないよ、みんな、おなかすいてるだけ」
にこやかにほほ笑みながら、自分の膝の上へと横たわらせてやる
あぁ なんともキューらしいなと思った
 
気まずい空気を変えようと
日本人炭鉱夫のふたりが漫才のように話し始め
その場を盛り上げる
「しゃーしかぁ」「こすかぁ〜」「なんばしよっと〜?」
その言葉をマネする韓国人炭鉱夫
立ちあがってマネするジョンウォン
そしてまた踊りだすジェィド
印象的だったのはその姿を見てニコニコと笑っているミンホ
 
ただひとりその中で暗い顔をしたままのサンヒョク
キヌエと現場長の事が引っ掛かっているのだろう
「具合が悪いとね?」と心配する日本人炭鉱夫
サンヒョクに変わって答えるドンギョン
 
「こいつ胸が痛いんだ だから心配ない」
 
「いや、心配だろう 胸がいたいんなら」
 
「違うよ!お前、本当に頭悪いね!!」
 
あまりに早いセリフ展開に驚いた
確かにメンバーの中でも一番日本語のうまいドンギョンだが
こんなに早い切り返しのセリフもきちんとこなす事ができるとは
 
盛り上がってきた炭鉱夫達は歌い出すが
そこへ現場長が戻ってきて
また険悪な雰囲気に





妹の事もあり韓国人に好意を持たない現場長は彼らに辛くあたる
「下手な日本語使うな!!」と・・・・・
サンヒョクはなんとかしたくって
現場長へと水筒を差し出すがそれさえも冷たく投げ返されてしまう
 
休憩時間の終了を告げるサイレンが鳴る
炭鉱夫達が立ちあがった瞬間
怒号が鳴り響き 土煙が立ち込める
炭鉱夫達の叫び声が響き、ステージ上は暗くなる
 
しばらくして水音だけが聞こえる中
日本語と韓国語が入り混じり、それぞれの生存確認を取る
点呼をとると日本人炭鉱夫が叫ぶ
「みんな大丈夫だな!!みんな一緒だ!みんな一緒に生きて帰るぞ!!」
 
体を引きずりながら全員でケージのあった場所までたどり着く
大きな石を皆で一緒に力いっぱい押し
やっとケージを発見する





そこには一筋の光が
助かったと喜ぶ炭鉱夫達
しかしケージに乗り込んだタロウが叫ぶ
「おい!!動け!!動いて俺達を上まで運んでくれよ!!」
 
その瞬間再び大きな音とともに落盤が起こってしまう
慌ててタロウを引き寄せる炭鉱夫達
「嫌だ!俺は生きて帰るんだよ!!嫌だ!!ねぇーちゃん!!ねぇーちゃん!!」
泣き叫ぶタロウの体を抱きしめながら
何度も名前を名前を呼び続けるデミアン
次々に泣き叫びだす炭鉱夫達
妻を想い、母を想い、家族を想い、妹を想い、そして恋人を思って泣き崩れる
 
会場の空気が静まり返る
誰もが息をのみ彼らを見つめていた
 
現場長が思い出した
この中に昔使っていたトンネルがある
それからダイナマイトもあるはずだ
トンネルを探し、爆破させ、そこから脱出しよう
しかしもしまた、そのダイナマイトで落盤が起きたら・・・・・・
その不安を吹き飛ばすように、日本人炭鉱夫のひとりが言う
「俺にまかせておけ 何年発破使ってるって思ってるんだ」
 
その言葉に皆が奮起する
サンヒョクが言う「やってみよう」
そして体調が悪いフーンも叫ぶ「俺が吹き飛ばしてやる!!」
その言葉に日本人炭鉱夫が「吹き飛ばすのは岩だぞ」と突っ込み
一瞬だけ皆の顔に笑みが戻る
 
暗闇の中トンネルとダイナマイトを探し始める炭鉱夫達
手で石を押し分け、岩を押し出そうとして、逆に吹き飛ばされる
岩を抱えようとするが持ちあがらず
つるはしを振り上げ必死に打ち砕こうとし手を震わせる
暗闇と不安にさいなまれたチョルジュは頭を抱えて叫び声を上げ出す
そんなチョルジュの肩をドンギョンが抱きしめる
 
日本人も韓国人もなく
皆が協力し合っている姿がそこにあった
現場長とサンヒョクさえも力を合わせて
そしてとうとうトンネルを見つける
ダイナマイトも発見され
あとは爆破をするだけとなる
 
でも、もしこの爆破が失敗したら・・・・・・
そう思うと装填準備をしている炭鉱夫達の手は震え始める
周りで見ている炭鉱夫達も涙をこぼし始める





これで助かるのか、それともまた落盤が起きてしまうのか
でもこれしか助かる方法はないのだ
 
「やるだけの事はやったんだ」
「あとはみんな一緒だ」
 
みんな一緒 みんな一緒
 
日本人炭鉱夫も韓国人炭鉱夫も口ぐちにそう叫ぶ
 
「よし、お前ら、上にあがったら思いっきり酒飲むぞ・・・・・みんな一緒だ!!」
現場長がそう叫んだ
 
「装填準備完了!!」
その声で皆がケージの前へ集まり
体を寄せ合って固まる
ジヒョクはダイナマイトを見つめたまま、後ろ向きに体を震わせながら歩く
ジョンギュウはその長い腕で皆の体を包み込むように抱きしめる
彼らが皆で握りしめあったその腕は上へ上へとのびていた





皆泣いている
本気で大粒の涙を流している
顔をゆがませて ぐちゃぐちゃな顔で泣いている
暗い炭鉱の土のずっと地下の地下で
炭鉱夫たちは抱きしめ合いながら
励まし合いながら泣いていた
私の目には、そうただの炭鉱夫にしか見えなくなっていた
 
彼らを待つ女達も泣いていた
じっとしているなんてできない、自分が掘り出して助け出す!と叫ぶ者
彼らが生きて戻ってきた時に自分たちが元気でいないでどうする!と叱る者
ただただ泣く事しかできない者
それぞれがそれぞれの想いでいた
 
彼女達の耳に再び爆音が届く
彼らが自分たちで装填したダイナマイトの音だ
それが何なのかわからないが
でも、彼らの身にまた何かが起こったのだと思うと
女たちはその場に皆泣き崩れる
 
と・・・・そこに掛け声が聞こえてくる
彼らだ
炭鉱夫達が互いに肩を貸し合いながら戻ってきたのだ







それぞれが抱きしめ合い 再会に涙を流す
その中でひとり立ちつくし、涙を流すドンギョンに思わず目を奪われた





現場長が自分と抱きしめ合っていたキヌエの背中を
サンヒョクへと向けてそっと押しだす
たどたどしくふたりが抱き合う
サンヒョクの腕が小さな彼女の体を抱きしめ
そしてその大きな手が彼女の頬を撫でる
 
サンヒョクの気持ちがとても伝わってくるシーン
後で聞いたファン達の声でも
このシーンが一番好きだったという声がとても多かった
 
ボーカリストの山口沙希栄さんの生歌が披露される中
メンバーはそれでもまだずっと炭鉱夫のままで
痛む体をさすったり、隣の仲間に肩を貸し支え合えあったりしていた
ステージの一番端にいたジヒョクでさえ
その涙は最後までずっと途切れることなく流れ続けていた








「俺たち ここでなんしよっと!!」
そう叫けぶ彼らの顔には満足感があふれ
会場は大きな拍手に包まれた







そして再度、その炭鉱夫の姿のままウォーキング
幾度となく舞台を見てきたが
こんなエンディングは初めてだ
まさしく彼らならではのエンディング










     (韓国から駆けつけたドンギョンさんのお母様が花束を…)

1部の時のウォーキングとはまた全然違う彼らの顔だ
演技が終わりほっとしたような顔や
満足したような顔
まだ涙が残る笑顔
それから花道ですれ違う時にじゃれあう姿
 
さっきまでステージの上にいた俳優K-men'sの彼らから
また一瞬で素の彼らの表情に戻ったような気がした


<3部につづく>


(文:mei)